こんにちは
管理者 tomorrowです
現在、様々なインターネットによるトラブルが後を断ちません
今回は、インターネットトラブルのうち、課金について、学校の先生が子供から相談があった場合の対応について、主に心理学的な視点で考えてみます
手順としては、次の3つの流れを考えます
1.課金のことについて、何を相談しようとしているのかの事実を「傾聴」する
2.聞き取った事実をもとに、相談してきた子供が考え・想いを「傾聴」する
3.自分でできそうな解決方法を考えつく問いかけをする
この手順について、次の【架空の相談事例 ゲーム課金のトラブル】から考えてみます
【架空の相談事例 ゲーム課金のトラブル】
【サトシとトオルについて】
小学5年生のサトシとトオルは、同じクラスです
彼らは、仲が良く、学校でも、放課後でもいつも一緒に遊んでいます
学校では、他の友人と一緒になって、ふざけ合ったり、サッカーしたりと身体を動かしています
また、2人はインターネットのゲームをすることが大好きなため、放課後はトオルの家で頻繁にゲームをしています
トオルの家では、家族みんながゲームをするのが好きなため、最新のゲームをしたり、平日や土日であっても、いつもでゲームができるようです
そのため、サトシだけでなく、他の友達も一緒になって、頻繁にトオルの家でゲームをして遊んでいます
【課金のトラブルの発覚】
ある日、トオルが教室で遠くを見て座っていました
学校でのトオルは、休み時間は走り回り、授業中は頻繁に立ち歩く様子がありました
しかし、この日は、椅子にトオルが座っている。この様子に違和感を感じ、話かけました

どうしたの?
何か考えごとをしているのかなぁ

「うん。昨日ね、サトシと一緒に、うちでゲームしたんだ。サトシが帰った後に、お父さんから電話が来て、ゲームに1万円も課金しているけど、どういうことだ?って、怒られた。何のことか分からず、ゲームを見てみると、ゲームの中で1万円分のコインが増えていたんだー。」

そうなんだ
お父さんに怒られてから、1万円分のコインが増えていたことがわかったんだねー

そう
自分は昨日コインを買っていないのに、なんでコインが買われていたんだろう。。。
誰かが買ったんだよなぁ
でも、昨日は、サトシとしかゲームをしていないから、サトシが勝手に買ったのかなぁ
それとも、ほら、誰かにハッキングされてコインを勝手に買われたのかなぁ。。。

なるほど
サトシさんがコインを買ったか、他の誰かがハッキングして、勝手にコインを買ったかもって、考えていたんだねー
このことは、お家の人やサトシさんには話をしたの?

ううん
まだ、誰にも話していない
お父さんは、昨日とても怒っていて、話ができなかったんだ
お父さんがとても怒っている時は、お母さんも話を聞いてくれないし。。。
サトシには、どんな風に聞いていいか分からないから、サトシにも話ができてない。。。

まだ、誰にも話をしていないんだね
お父さんは怒っているし、お母さんは話を聞いてもらえないと考えて
サトシさんにもなんて言っていいか分からなかったんだね

うん
昨日からずっと考えているんだけど
何が起こったんだろう
僕は、どうしたらいいんだろう
どうしていいか分からなくなっちゃった。。。

昨日からずっと考えていて、どうしていいか分からなくなっちゃんたんだね
昨日は、お父さんやお母さんに話をしようとしていたけど、できなかったと話していたんだけど、今朝のお父さんはどうだったの?

今朝は、あまり怒っていない感じだった
学校に行く時にも、お父さんが「もう、勝手に課金するなよ」と自分に言うくらいだったから

そう
お父さんから話があったんだね
今朝のようなお父さんやお母さんに、昨日の話をしたらどうなると思う?

今朝の様子だったら、話をできるかもしれない

そう
じゃあ、お家に帰ったらどうするかなぁ?

うん
そうだね〜。お母さんに相談してみようかな

お母さんに相談してみるんだね
そうそう、サトシさんのことも、気になっていそうだったけど、どうしようか?

うーん
そうなんだよね〜
サトシのことも一緒に、お母さんに相談してみる

サトシさんのことも、お母さんに相談してみるんですね
このことがどうなったか、また教えてくれたら、嬉しいなぁ

「うん。分かった。」
【ゲーム課金について】
最近、ゲームによる課金は、小中学生でも、頻繁に行われております
例えば、「○○ギフトカード」などのようにコンビニで様々な種類が売られている「プリペイドカード」とスマホやゲーム機と紐付けが行われています
それにより、クレジットカードを持つことができない子供たちでも、自分のゲームに何万円も課金することができるようになっています
また、親が子供とゲームを一緒にする場合、親のクレジットカードとゲーム機等と紐付けし、それを子供が勝手に使って課金をしていまうということもあります
このように、課金が簡単に行うことができる状況にあるため、ゲーム課金で、子供たちが困るケースとして、
「気づいたら、大金を課金してしまってた」
「親のお金で、1万円も課金してしまった」
「ゲームをしていて、誘導されて課金をしてしまった」
などがあります
また、このように困ったことになっても、
「親に相談したら、お金のことなので怒られるかも・・・」
「こんな失敗したから、もうプリペイドカードが使えなくなるかもしれない・・・」
という想いに子供がなり、子供が一人で悩んでいる状況になることがあります
このような状況の場合には、「3つの手順」を行うとについて示していきます
1.課金のことについて、何を相談しようとしているのかの事実を「傾聴」する
本ブログでの「相談」とは、「相談者が今後も出逢う問題に対して、自分でできそうな解決方法を考えつくように、今の問題に対する考え、行動を起こすことを支援すること」としています
そのためにも、支援者は意図(相談者との信頼関係がどの程度あり、何の役割として、どんな「問いかけ」が相談者の支援につながるのか)した「問いかけ」を行なっていくことが大切と考えます
また、相談者の年齢や考え方が様々な学校においては、相談者と支援者の関係によって、Scheinが示す「純粋な問いかけ」や「診断的な問いかけ」を使い分けて対応していく方法がいいと考えます

「問いかけ」には4種類あることをEdgar. H. Scheinが示しています
詳細については、次の記事を参考にしてください
まず、大切なところとして、あなたのところに相談しに来た子供は、
「あなたになら怒られない」
「あなたなら、話を聞いてくれる」
ということを考えている事実を受け止めてあげるといいと思います
確かに、お金のことは、親に相談しないと解決が難しい相談です
あなたに相談に来た子供は、どのようなことを考えて来たのでしょうか
おそらく、

親に伝えたら怒られる。でも、一人で悩んでいても、一向に解決する方法が思い浮かばない
どうしたらいいのだろう・・・
できるだけ、早くに解決したいのに〜
といった感じではないでしょうか
このような時こそ、
「傾聴」→ラポールの形成
を図っていくことで、子供たちは、自分の抱えている不安を話しやすくなります

「傾聴」については、次の記事を参考にしてください
相談の手順として、まずは、相談に来てくれた子供が悩んでいる「事実」を聴いていくことから始まります

「事実」と、日本語にはこれに似た「真実」があります。「真実」ではなく、「事実」を聴いていくことについては、次の記事を参考にしてください
悩んでいる子供に、
「どうしたの?」
と声かけすると、
「あのねー」
と、今考えている「真実」を語っていくことが多いです
つまり、「自分に起こった事柄と、自分がその事柄を通して感じたこと・考えたこと」がごちゃまぜになっていることが多いです
そこで、どんなことが起こったのかという「事実」を「傾聴」していきます
この過程を経ることで、子供とのラポールが形成され、考え・想いを子供が語りやすくなります
2.聞き取った事実をもとに、相談してきた子供が考え・想いを「傾聴」する
「事実」を聴いたのちに、相談者が話をした「事実」についての考え・想いを傾聴していきます

ここで質問!
「事実」だけを聴いていった場合、相談者はどんな気持ちになるでしょうか?
それは、

ひょっとして、問い詰められている?悪いことしたのかなぁ
というような不安な気持ちになっていきます
もしくは、

話がしたいのは、そこじゃないんだけどなぁ
などのように、話を聴いてもらえていないように感じてきます
相談者の考え・想いを尋ねる際の問いかけとしては、「なぜ?」よりも、「どんなことを考えたの?」などのように、「なぜ?以外の疑問詞」を用いる方法があります
「ここで使おうとした疑問詞は、どんな回答を意図していたのか?相談者が回答をしやすい質問の方法なないか?」を考えて問いかけます
Edgar. H. Scheinによると、相談者は支援者よりも1つ下の立場、そして支援者は相談者よりも1つ上の立場にいるそうです
そのため、相談者は、自分自身を低くして、思うように自分のことを語れなくなりやすいと言うことになりがちのようです
そのため、支援者は「問いかけ」方を工夫し、相談者が語りやすい状況をつくり、相談者自身が自分の問題に主体的に解決していく支援を行なっていきます
《トオル3》において、「お母さんも話を聞いてくれないし。。。」のところから、相談者の感情として、「話を聴いて欲しかったのに、できなかった」という感情があるように察することができます
また、「サトシには、どんな風に聞いていいか分からない」から、相談者の感情として、tomorrow4において、積極的傾聴技法の「いいかえ」を行うことで、相談者が話していた内容をフィードバックし、相談者の想いを共感していることを、相談者に伝えています
コラム:理由を尋ねる「なぜ?」は、相談場面で使わない方がいいの?
「事実」や「考え・想い」を聴いていく場合の「開かれた質問」として、よく用いられるのに「なぜ?」があります
これは、相談の時には基本的に使わない方がいいです
(1)「なぜ?」は、相談を受けている人が知りたいから用いる言葉であるため、相談者の解決ではなく、相談を受けている人の疑問を解くことが中心になりやすいからです
(2)「なぜ?」は理由を尋ねるものですが、場合によっては、「理由なんてない!!!」となったり、追い詰められているような気持ちにさせる傾向にあるからです
(3)「なぜ?」ではなく、「どんなことを考えて?」とか、「どんなところから考えて?」のように、「他の疑問詞を用いることで、相談者が答えやすい」状況になるからです
よく、生徒指導の場面で「言い訳を言うな!!!」の言葉を聞きました。この「言い訳」こそ、「相談者の考え・想い」だと思います
これが「正しい」と言うことではなく、「相談者の考え・想いとして、まずは受け入れ、そこに至った流れを聴いていく」ことによって、相談者がどんなことを大切にしているのか、守ろうとしているのかを知ることができます
さらに、それを大切にする・守ろうとしている相談者の想いを知ることができるようになると考えます
3.自分でできそうな解決方法を考えつく問いかけをする
「自分でできそうな解決方法を考えつく問いかけをする」ことは、これまで行なってきた2つの方法が目指してきたものです
この段階では、すでにラポートの形成を図ることができ、支援者と相談者が、相談者の抱える問題に対して、共通確認ができている状況です
そこで、支援者はSchienが示す「診断的な問いかけ」や「対決的な問いかけ」を用いて支援していくことで、相談者が自分の抱える問題に対して、自分でできそうな解決方法を「診断」したり、支援者が提案する考えに対して「対決」したりすることを支援していきます
ただし、これらの「問いかけ」が「控えめ(謙虚な)問いかけ」になるように、気をつける必要があります
そうならない場合には、相談者を怒らせるなどとなり、相談者との関係をうまく行かななくなってしまうこともあるからです
tomorrow6
そう
お父さんから話があったんだね
今朝のようなお父さんやお母さんに、昨日の話をしたらどうなると思う?
このセリフは、「対決的な問いかけ」であり、今朝のお父さんとお母さんの様子から、もし話をしたら、どんなことになったと考えられるか、と言う支援者の考えに対して、トオルに「対決」してもらうためのものです

「対決的な問いかけ」を用いる際に、Schienは、「相手に対して謙虚な気持ちや好奇心を抱いているか」、それとも、「私には解決策が見えているので、自分が正しいことを証明してみせようと思っている」のかを考えるようにしているとあります
支援者の考え次第で、相談者は一段下の位置に置かれ、自分の考えを言えなくなったり、支援者の言うことを行うようになり、支援者をたより、問題解決を自分で考えないようになることもあります
tomorrow7
そう
じゃあ、お家に帰ったらどうするかなぁ?
tomorrow8
お母さんに相談してみるんだね。そうそう、サトシさんのことも、気になっていそうだったけど、どうしようか?
これらのセリフは、「診断的な問いかけ」です
これまでの相談から、トオルがどのような行動をとろうと考えているのかを、トオル自身に診断を促すための問いかけが、これらのセリフです
tomorrow6・7・8のセリフは、信頼関係を築くことができる「控えめな問いかけ」になっているでしょうか
今回の相談の趣旨は、「トオルがどのようにしていいのかわからない」と言う相談でした
そのため、相談者が、この相談を通してどのような考えになったのかを、理解しようとしての問いかけが、これらのセリフでした
つまり、相談者が知りたいこと・考えたいことに、支援者が誘導することで、相談者と一緒に問題解決を図ろうとしている問いかけを行っています
このことから、「控えめな問いかけ」と考えます。
まとめ
インターネットトラブルのうち、課金について、学校の先生が子供から相談があった場合の3つの対応としては、
1.課金のことについて、何を相談しようとしているのかの事実を「傾聴」する
2.聞き取った事実をもとに、相談してきた子供が考え・想いを「傾聴」する
です
ただし、相談内容がお金のことや命に関わることであれば、必ず保護者と子供と一緒に考える方向に繋げます
虐待などがあり、保護者へつなげづらい状況の場合には、校長と相談し、関係諸機関と相談して対応を検討します
最後まで、「これからの学校を作る相談室」をよんでいただき、ありがとうございました
誰かに話をしたり、相談したりすることが、悩みの解決につながります
解決することを支えるために、本ブログでは、進路や生き方の悩みに対しての相談を受け付けています

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