「知能」と「学力」って同じなの?ーRaymond Cattelー

相談のノウハウ
Phot:Steve Johnson at unsplash

こんにちは

管理者 とも@生き方カウンセラーです

学校やこども園の先生方やカウンセラーの中には、試験等で測られる「学力」について、「よく、『知能』という語句も『頭の良さ』と同じように使われているけど、『知能』と『学力』って同じなの?」と「モヤッ」な方もいらっしゃると思います

知能理論のRaymond Cattel(以下、「Cattel」とします」より

「知能は、流動性知能と結晶性知能とからなる」

としております

 Cattellが定義したこの二つの知能とはこのようなものでした

「流動性知能」とは、推理、計算、図形処理等新しい課題への探索を行なって問題を解決する知的能力

のことです

遺伝的に受け継がれるもので、文化や教育の影響を比較的受けにくく、個人差を説明するものとしても役に立ちます

「結晶性知能」とは、言語理解、経験的評価など学習や過去経験の蓄積によるため、年齢とともに高くなっていく知的能力

のことです

Cattelは、「結晶性知能」を文化活動に「流動性知能」を投入することで得られる「一連の判断技能」と特徴づけました

そのため、知能は文化や教育の影響を大きく受けます

 「知能」については、Cattelよりも前の時期、1904年、Charles Spearman(以下、「Spearman」とします)によって、あらゆる学習の基礎として機能しうる一般知能因子「g」と個々の特殊性に対応した特殊因子「s」を定義しました

また、20世紀初頭のフランスでは、小学校において、大人数の中でも教育効果を上げようとしていました

そこで、普通教育についていける児童と、ついていけない精神遅滞児を主観的ではなく、客観的に判断できる知能テストの開発が求められました

そして1905年、Binet. AとSimon. Tによって、IQを用いた知能検査を行い、その結果により、子供たちを客観的に判断するようになりました

その後、様々な知能検査が開発されていきますが、1941年、Spearmanの学生であったCattelは、「g」を構成する「流動性知能」と「結晶性知能」という二つの異なった知能の型を定義しました

さらに、1993年、Carroll, J. B.は、Cattell & Horn & Carrollの3人の頭文字からとった、CHC理論を発表しました

これは、「g」の下に16の一般的な因子があり、その下に16の特殊な因子があるという3層の構成となっており、現在のWechsler式知能検査に用いられている理論です

では、「学力」とは、なんでしょうか

学校においては、様々な「試験」、「学力テスト」などが実施されております

全国規模のテストとしては、平成19年度以降、日本国内の小中学校において、悉皆(必ず、しなければいけない)の試験として毎年4月に「全国学力・学習状況調査」があり、各都道府県や市町村・各学校の「学力」による順位付けが行われています

ここで、測定できるものは、ペーパーテストで測定できる(最近は、英語での聞き取りや話すことも測定しております)「学力」とされております

この調査で用いる試験では、ヨーロッパ諸国を中心に日米も含めた世界38カ国が参加しているOECD(経済協力開発機構)が行うPISAをもとに、国語、算数数学、英語、理科の試験を作成しております

このような教科の正答率を上げることを現在の小学校・中学校に求め、学習指導要領(学校で指導する内容を決める基準)を作成しております

このことから、

「学力」とは、「国や文化圏のリーダーが決めていくものであるため、その時・その状況の環境によって決まってくるが、これから生きていくために必要と思われされている能力」

とも考えられます

 「知能」と「学力」について、硬い内容となってしまいました

結局のところ、「知能」も「学力」も文化などに左右される面もあり共通する内容を示すところもあります

しかし、「知能」には、過去の学習や知識を必要とせず、「推論」できることを指す面もある、といった違いがあると思われます

読書の皆様は、「知能」と「学力」の違いを、どのようにお考えになりますか?

最後まで、「これからの学校を作る相談室」をよんでいただき、ありがとうございました

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参照 三省堂「心理学大図鑑」(2013年)

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