こんにちは
管理者のとも@生き方カウンセラーです
保育士や学校、学童の先生方には、様々な年齢の子供たちと接した時に、「幼い子供って素直だなぁ」、「どうして、成長していくと、素直じゃなくなっちゃうんだろう」など「モヤッ」な方もいらっしゃるのじゃないでしょうか
ここでの「素直」とは、「大人の言うことを聞いて、その行動をしたり、その行動をしない仲間には注意する」などのことを指してます
道徳的発達について有名なLawrence Kohlbergによりますと、「道徳性は六つの段階を経て発展する」そうです
Kohlberg以前に、Piagetが物質的損失の大小で判断する結果論的な見方から、8歳半ば以降に行為の動機で判断をする動機論的な見方への変化を見出しました。そして、次の道徳性の三つの発達段階を示しました
第1段階 | 道無徳の段階 | 道徳的判断を持たない |
第2段階 | 他律的な道徳の段階 | 自己中心的な思考で自身は規則を破ることもあるが、周りの大人の判断を絶対視する |
第3段階 | 自律的な道徳の段階 | 他者との関わり、周りの状況を考慮しつつ、自己の判断を重視する |
Kohlbergは、Piagetの道徳性は発達をするという考えを受け継ぎ、子どもは子どもの正しさのシェマ(Piagetが提唱した、認知的枠組のことで、認知心理学でいうスキーマとほぼ同様の考えと思われます)を持ち、それにより判断するが、発達によりシェマが変化し、道徳性も変化すると考えました
これに基づいて、次の六つの発達段階が示されました
前習慣水準(~9歳頃) | 第1段階:罰と服従志向 | 行為の善悪をそれが懲罰もたらすかどうかで決める |
第2段階:道具主義的相対主義 | 行為の善悪はそれによってどんな報酬がもたらされるかで決める。相互的な意味において、他者の要望と欲求は確かに重要と考える。 | |
習慣的段階(9歳~青年期) | 第3段階:対人的同調・よい子志向 | 他者を喜ばせ、他人を助けるために良く振る舞い、他人から承認を貰う |
第4段階:法と秩序志向 | 権威を尊重し、社会秩序に従うことによって権威を維持することを思考する。 | |
脱習慣的段階(青年期以降) | 第5段階:社会的契約的な法律志向 | 権威を尊重するが、否定的なものであれ制約を課すものであれ、個人の権利こそがそれに変わるべき法だという認識が強まっている。ただ規則に従うことよりも人間の生命ははるかに尊いものであることに気づいている。 |
第6段階:法と秩序志向 | 現実の法や規範だけでなく、正義について自ら選んだ基準と、人間性の尊重を考えつつ、自己の良心に背かない仕方で行為する。 |
脱習慣的段階はのレベルに到達するのは、全員のうち10〜15%くらいだと、Korlbergは示唆しております
特に、第6段階に到達した数少ない一人として、Monhandas Karamchand Gandhi(マハトマ・ガンジー)がいます
彼は、成人してからの全生涯をつうじて、不正で抑圧的な法には抗う義務があると感じていました
このようなことから考えますと、子どもを「素直」と感じるのは、親や周りの大人の言うことに従ってくれるといった、その子の道徳的発達段階のうち、第1段階から第3段階によるものと思われます
しかし、その後、第4段階や脱習慣的段階に入ってくると、自分の周囲の仲間との関係(ギャングエイジや思春期)や自分自身の道徳性の考えを持つため、親やその周りの大人たちの考えを、素直に受け入れない場合も出てくるのでしょう
その結果、「素直」じゃないとい感じる場面も多くなるのだと思われます
子供たちと接していく中で、子供の「素直さ」について考える場面がありましたら、ぜひ、「どんなことから、そう考えたの?」と尋ねてみてください
そこから、子供たちが、どんなことを大切にし、現在どの発達段階にいるのかが見えてくるかもしれません
そこから、子供たちを次の発達段階に成長させていく方法を、子供と一緒に考えていけると、気持ちが軽くなることもあると思います
最後まで、「これからの学校を作る相談室」をよんでいただき、ありがとうございました

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参照 三省堂「心理学大図鑑」(2013年)
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